Web Design Lab FLOW ANATOMY — フロー解読 ← ギャラリーへ

FLOW ANATOMY #31 — 1サイトを縦に解剖する

樋口製作所は、
なぜ社長の顔から採用を始めるのか。

技法は『点』、サイトは『線』。架空の町工場『株式会社 樋口製作所』の採用ページは、キャッチコピーでも会社紹介動画でもなく、旋盤の前に立つ社長本人の顔写真から始まります。求人票にありがちな「明るい職場です」というスタジオ写真の代わりに、実写人物写真を額装タグつきで主役に据え、口語のインタビュー・数字で裏づける一日の流れ・正直な募集要項とFAQへと積み上げていく。「6人の会社です」という等身大の宣言から、応募という決断までを、誇張ゼロの言葉と顔で口説く設計を章ごとに解剖します。解説をスクロールすると、実物のライブプレビューが同じ場所まで自動でついてきます。

対象: showcase / 樋口製作所 ↗ 全7章 使用技法 13

BLUEPRINT流れの設計図 — 章の役割と緩急

顔→数字→現場の声→一日の流れ→仕事の中身→募集要項→会社概要。ヒーロー映像も抽象的な理念コピーも置かず、「顔」「一人称の口語」「検証可能な数字」の3つだけを一貫して積み上げます。動きはパララックスとcount-upに絞り、写真とインタビューという中身そのものが主役であり続ける設計です。

  1. 00FACE起 — 顔と一人称の語りで、いきなり自己紹介する
  2. 01NUMS承 — 5つの数字が、静かに数え上がって裏づける
  3. 02PEOPLE転 — 現場の声を、口語のまま2人ぶん聞かせる
  4. 03DAY実 — 一日の流れで、残業の少なさを体感させる
  5. 04WORK核 — 仕事の中身と、向き不向きを正直に語る
  6. 05REQ誘 — 募集要項と、本音のFAQで不安を減らす
  7. 06FOOTER結 — フォームでなく、会社概要で終える
LIVE 00 FACE
CHAPTER 00 FACE

顔と一人称の語りで、いきなり自己紹介する

狙い全画面の縦長ポートレート「旋盤の前に立つ、紺の作業着の職人」を左に大きく置き、隅に「No.01 樋口 隆/二代目・旋盤」という額装タグを添える。右には「はじめまして。」から始まる一人称の文章で「うちは、6人の会社です。」「経験はいりません。」と、社長本人の口調のまま語らせる。写真はわずかにパララックスで沈み、文はstaggerで一行ずつ立ち上がる。企業理念やスローガンより先に、個人の顔と声を出す判断がこの型の核。

つなぎここで「この人が社長です、この人に会いに来てください」という関係性の土台を作る。以降のすべての数字・証言・要項は、この顔に対する裏づけとして積み上がっていく。

CHAPTER 01 NUMS

5つの数字が、静かに数え上がって裏づける

狙い社員6人・創業1968年・平均勤続14年・未経験で入った人4/6人・昨年の残業月平均7時間。5つの実数を罫線で区切った定義リストに並べ、画面に入った瞬間に0から目標値へcount-upする。飾らない等幅数字が「これは誇張ではなく集計結果です」という誠実さを担保する。特に「未経験4/6人」と「残業7時間」は、他の求人ページが避けがちな具体的すぎる数字。

つなぎ顔で得た第一印象を、検証可能な数字で裏づける短い章。ここで信頼の土台を固めてから、次章の生の声(インタビュー)へと進む。

CHAPTER 02 PEOPLE

現場の声を、口語のまま2人ぶん聞かせる

狙い未経験入社の2人(元スーパー惣菜、元居酒屋店長)に、写真+Q&Aの定義リストで語ってもらう。1人目は左に写真・右に文、2人目はその逆(iv-rev)で交互に配置し、視線の往復に単調さを作らない。答えは「最初の半年はきつかった」「夏がいちばんきつい」といったネガティブも隠さず載せ、褒め言葉だけの証言に堕ちないようにしている。

つなぎ数字が「量」の裏づけなら、ここは「質」の裏づけ。社長の言葉だけでなく、実際にその会社に入った人の生の口調を聞かせることで、応募者は自分がそこにいる姿を想像できるようになる。

CHAPTER 03 DAY

一日の流れで、残業の少なさを体感させる

狙い8:00の朝礼から17:00の終業まで、7つの時刻を縦のタイムラインで淡々と並べる。各項目は時刻・見出し・一言説明の3点だけ。「16:50に帰る人もいます」という具体的な一文が、前章で示した「残業月平均7時間」という数字を、実感できる情景に変換している。

つなぎ統計としての数字(NUMS章)を、時間の流れという体験に翻訳する章。読者は「何時に終わるか」を最も知りたいので、ここを一日の骨格として独立させている。

CHAPTER 04 WORK

仕事の中身と、向き不向きを正直に語る

狙い工場内観の写真とともに「単品・小ロットの金属加工」「量産品はやりません」という事業の輪郭を説明し、「同じことの繰り返しが苦にならない人より、毎回ちがうほうが飽きなくていい人のほうが続いている」と、向き不向きまで正直に言い切る。下段には旋盤・フライス盤・測定・図面という4つの技能をカードで並べ、習得の順番まで示す。

つなぎ「誰でも歓迎」ではなく「向いている人」を明示することで、応募のミスマッチを事前に減らす章。求人の質を上げるための、あえての絞り込み。

CHAPTER 05 REQ

募集要項と、本音のFAQで不安を減らす

狙い職種・雇用形態・給与・勤務時間・休日・待遇・勤務地・選考を、罫線で仕切った求人票そのものの表組みで並べる。「面接は1回だけです」「履歴書は郵送不要」と、選考の摩擦を先回りして減らす一文を添える。下には<details>アコーディオンで「体力に自信がない」「手が汚れますか」という、聞きにくいけれど本当に知りたい質問にだけ答える。

つなぎここまでの信頼を、応募という行動に変換する直前の章。不安の芽を1つずつ潰しておくことで、最後の会社概要(FOOTER)まで気持ちよく読み進めてもらう。

CHAPTER 06 FOOTER

フォームでなく、会社概要で終える

狙い「まずは見学に来てください。平日10:00/14:00、電話048-000-000(樋口)」という一文と、商号・創業・代表・所在地・設備・取引先を並べた会社概要テーブル、設備写真をひとつだけ。応募フォームを置かず、電話と見学という最も摩擦の低い一歩だけを用意する。最後は「架空の会社です」という免責を正直に明記して締める。

つなぎデジタル応募フォームで押し込むのではなく、「見学に来てほしい」という人対人の一歩に着地させる。顔から始まった採用ページが、最後まで人の気配を保ったまま終わる。

TAKEAWAY“顔”で口説く採用LPの5原則

樋口製作所から取り出せる、中小製造業・職人系・地域密着サービスなど"人が商品"の採用・紹介ページ全般に持ち帰れる設計則。#15 みのり農園 が手描きイラストで信頼をつくったのに対し、こちらは実写人物写真という対極の手段で同じ「信頼」に到達しています。

1

理念より先に、顔を出す

抽象的なミッションコピーではなく、実際に働く1人の顔と名前をヒーローに置く。応募者が最初に知りたいのは会社のビジョンではなく「誰と働くのか」であり、顔はその問いに最速で答える。

2

数字は、検証可能なものだけ出す

「アットホームな職場」より「未経験4/6人」「残業月平均7時間」。曖昧な形容詞を、具体的で反証可能な数字に置き換えるほど、読み手は文章全体を信じやすくなる。

3

不都合も、正直に書く

「夏がきつい」「手が汚れる」といった不利な情報を隠さず先に出す。ネガティブ情報の開示は、その他すべての記述の信頼度を底上げする、最も安いコストの信頼構築策。

4

動きは主役にしない

パララックスとcount-upだけに絞り、演出そのものは目立たせない。写真とインタビューという"中身"が主役であり続けるよう、技術は控えめな裏方に徹する。

5

フォームでなく、次の人間的な一歩で終える

いきなりの応募フォームは心理的ハードルが高い。電話・見学という、後戻りしやすく低摩擦な次の一歩を用意して終える方が、最終的な応募の質が上がる。

INDEXこの解読に登場した13技法

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