最終版を 刷って います…

号外

雲州日日新聞

UNSHU NICHINICHI SHIMBUN

発行
二〇二六年七月二十三日(木)
号数
第二三八一二号
発行所
雲州日日新聞社 雲州市中町一ノ四

この号外は無代です

市電五五五号線

市電
あす最終運行

五十五年 まちを縫った二両

雲州市交通局は二十二日、市内を東西に結ぶ市電五五五号線について、二十四日の運行をもって全線を廃止すると発表した。開業から五十五年。沿線の人口減少と車両の老朽化が理由で、最終運行は二十四日午後十一時十二分、中町発の下り最終便となる。

同局によると、五五五号線は一九七一年、市街地と港をつなぐ足として開業した。最盛期の一九八三年度には年間延べ四百二十万人が利用したが、二〇二五年度は五十一万人まで落ち込んでいた。現存する二両はいずれも開業時から走り続けており、部品の調達が困難になっていた。

交通局の戸倉 史郎局長は会見で「代替の路線バスは本数を増やして対応する。市民の足を細らせるつもりはない」と述べた。一方で「五十五年、毎朝この音で目を覚ましていた方がいることも承知している」と言葉を選んだ。

最終日の二十四日は、始発から終便まで全便を無料とする。中町電停では午後八時から見送りの会が開かれ、車庫では車両の一般公開も予定されている。二両のうち一両は、市立郷土館の前庭に静態保存されることが決まった。

沿線で五十年間、理髪店を営む大西 みつさん(八一)は「うちの店は、電車の音で時計を合わせてきた。明日からは何で合わせたらええんかね」と話した。

(社会部・井上 珠子

五五五号線 全十四電停

港 前 倉庫町 魚市場 新 橋 中 町 県庁前 図書館前 錦 町 病院前 師範坂下 桜 橋 工業高校前 山手三丁目 山手車庫

路線図=雲州市交通局の資料をもとに本紙作成。総延長八・二キロ、所要三十一分。

五五五号線のあゆみ

一九七一
港前―中町間が開業。二両で運行を開始する。
一九七四
山手車庫まで延伸し、現在の全線となる。
一九八三
年間利用者が四百二十万人。過去最多を記録。
一九九一
車体の塗色を、現在の朱と生成りに変更。
二〇〇四
台風で桜橋の軌道が冠水。四十日間の運休。
二〇一九
沿線の中学校が統合。通学利用が半減する。
二〇二五
年間利用者が五十一万人。廃止の検討が始まる。
二〇二六
七月二十四日、最終運行。五十五年の営業を終える。

数字でみる五五五号線

  • 八・二キロ 総延長
  • 三一分 全線所要
  • 一四電停
  • 両 現存車両
  • 五五年 営業期間

沿線から

「発車のベルが、うちの目覚まし時計でした。明日からは静かになる。それが少し、こわい」

中町 谷口 和子さん(六八)

「高校三年間、この電車で通いました。窓から見た港の朝日は、いまでも思い出せます」

工業高校前 笹本 徹さん(三四)

「バスは坂を上ってくれるので、正直こちらのほうが助かる。さみしいけれど、それは別の話です」

山手三丁目 石渡 ふみさん(七九)

最終日のご案内

  • 全便無料/七月二十四日 始発〜終便
  • 見送りの会/中町電停 午後八時〜
  • 車両一般公開/山手車庫 午前十時〜午後四時
  • 記念乗車証/各電停で配布(数に限りがあります)

問い合わせ=雲州市交通局 〇八五二(〇〇)〇〇〇〇

社説 ― 音が消える日に

五十五年というのは、人ひとりが生まれて働き、子を育て終えるほどの長さである。その間ずっと、同じ軌道の上を、同じ二両が往復してきた。市電が消えるという知らせに、多くの市民が言葉を探しているのは、そのためだろう。

採算だけを見れば、廃止はやむを得ない。年間五十一万人という数字は、一日あたり千四百人にすぎない。行政が代替バスを増便すると言うのなら、移動の手段としては足りるのかもしれない。

ただ、まちの記憶は路線図の上には載らない。発車のベルで時計を合わせ、車窓の順番で季節を知る。そういう覚え方をしてきた人が、この沿線には確かにいる。失われるのは移動手段ではなく、まちの共通の目盛りである。

静態保存が決まった一両を、ただの置き物にしてはならない。扉を開け、座席に座れるようにしてほしい。音は消えても、座り心地は残せる。それが、五十五年に対する礼儀ではないか。

本日の紙面

  1. 一面市電、あす最終運行/五十五年の営業を終える
  2. 二面代替バス、七系統を増便へ 交通局が時刻表を公表
  3. 三面沿線の商店、客足に不安 「電停の名前は残して」
  4. 四面写真特集 五五五号線、最後の一週間
  5. 五面読者投稿 わたしと市電(三十七通)
  6. 六面社説/音が消える日に *本号に再録

雲州日日新聞社

雲州市中町一ノ四/〇八五二(〇〇)〇〇〇〇

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