01/ 04
木地kiji — the wood base
Day 01–08 工程 01–04
使うのは輪島近郊で20年育った欅(けやき)。年輪が硬く、狂いにくい。木地師が荒く挽いたあと3日休ませ、最後の一挽きで椀の厚みを決める。ここでの薄さが、後の24工程すべての土台になる。
- 01 木取り
- 02 荒挽き
- 03 乾燥
- 04 仕上げ挽き
「薄く挽くほど、後で泣くことになる。」— 木地師
滔々 TOU-TOU 漆工房 — 工程記録 No.24
一つの椀が木地から完成までに重ねる工程は24。素材は輪島の地の粉と、能登の漆搔きが集めた生漆だけ。
01 — Process
下にスクロールすると、椀が留まったまま工程が送られます。写真は工程が進むごとに切り替わります。
01/ 04
Day 01–08 工程 01–04
使うのは輪島近郊で20年育った欅(けやき)。年輪が硬く、狂いにくい。木地師が荒く挽いたあと3日休ませ、最後の一挽きで椀の厚みを決める。ここでの薄さが、後の24工程すべての土台になる。
「薄く挽くほど、後で泣くことになる。」— 木地師
02/ 04
Day 09–52 工程 05–10
欠けやすい縁と高台に、麻布を漆で貼る「布着せ」。その上に輪島特産の珪藻土「地の粉」を漆に練った錆漆を、三度に分けて塗り重ねる。塗るたびに研ぎ、また塗る。24工程のうち最も日数を食う、見えなくなる工程。
「見えなくなる場所に、いちばん時間を使う。」— 下地職人
03/ 04
Day 53–96 工程 11–16
下地の上に中塗、上塗と色漆を重ねる。埃を一切許さない塗師の部屋で、刷毛一本、一息で塗り切る。塗るたびに湿度を保った室(むろ)で丸一日以上寝かせる。ここで、器の色が初めて姿を現す。
「刷毛を止めた場所が、そのまま跡になる。」— 塗師
04/ 04
Day 97–124 工程 17–24
室枯らしで漆を十分になじませたあと、木炭で研ぎ、生漆を摺り込む作業を数回繰り返す。最後は角粉という極細の粉を、手のひらの脂だけで磨き込み鏡のような艶を出す。研磨剤は使わない。
「最後は、手のひらの温度で仕上げる。」— 呂色師
02 — Material
ペンキと違い、漆は蒸発して乾くのではない。漆に含まれる酵素ラッカーゼが、空気中の水分を取り込みながら樹液を固める化学変化——それが漆の「乾く」の正体。だから乾かす部屋は、逆に湿らせる。
湿度 humidity
0–0%
室温 temperature
約0℃
この部屋を「室(むろ)」と呼ぶ。24工程のうち、少なくとも7回はこの室で漆を寝かせる。乾かしすぎると、逆に乾かない。
03 — Color
輪島塗の色は、突き詰めればこの二色に収束する。顔料も、色ができる仕組みも違う。

朱bengara / 弁柄
酸化第二鉄を主成分にした赤い顔料「弁柄」を、生漆に練り込んでつくる色。焼く温度で赤みが変わり、工房ごとに配合が違う。乾くと朱は、わずかに沈んで深くなる。

黒roiro / 呂色
黒は顔料でなく、鉄分と反応させた漆そのものの色。仕上げに炭と手のひらで磨き上げる工程「呂色」が、そのまま色の名前として定着した。艶は塗って出すのではなく、磨いて出す。
04 — Record
この椀が経た、24の工程と124日。工房では椀の底裏に工程表を控える。ここに、その全文を記す。
01
木取り
2日
02
荒挽き
2日
03
乾燥
3日
04
仕上げ挽き
1日
05
木地固め
3日
06
布着せ
4日
07
一辺地
6日
08
二辺地
6日
09
三辺地
6日
10
地研ぎ
19日
11
錆固め
3日
12
中塗(一)
5日
13
中塗研ぎ
4日
14
中塗(二)
6日
15
上塗前研ぎ
4日
16
上塗
8日
17
室枯らし
14日
18
蝋色研ぎ(一)
4日
19
摺り漆(一)
3日
20
蝋色研ぎ(二)
4日
21
摺り漆(二)
3日
22
胴摺り
5日
23
呂色仕上げ
6日
24
検品・銘
3日
計
完成
124日